真面目な人

最近の習慣として、アイロンがけの間に岡田准一さんのラジオを聴くようになった。前から時々聴いてたけど、彼の番組のゲストはジャンルが多岐にわたっていて、とっても面白いなあと思う。それに岡田氏の声は、とっても柔らかで聞いていて耳に心地よく、優しい気持ちになれる。(朗読とかやってほしいなあと思うけどやってるのかな。)真面目な人柄が出るような、穏やかな話し方も聞いていて落ち着く。


その日はちょっと楽しみにしてたピエール瀧さんゲストの回だった。

電気グルーヴというちょっと変わったバンドのメンバーで、ドラマにもバラエティにも顔を出す、なんだか枠にとらわれない人だなあと思ってた。


そんな瀧さんへ目標はありますかと尋ねた岡田氏への返事として、目標を持たないというポリシー、いやスタンス、生き方を彼は話しをしてくれた。ちょっとその答えに意表を突かれたような岡田氏は、その反対を望まれて、自ら選んで生きてきた自分とかけ離れているなと感じただろうか。私にはなんとなくそう聞こえた。対話が進むにつれて二人の「人となり」というものの相違が浮き彫りになってきてたように感じられて非常に面白かった。

瀧さんは「目標を持って生きるっていうことはいらないものを手放すこともある。でもそのいらないものの中にも価値のあるものがあると思う」という(ニュアンスで申し訳ないけどそういったことを)話していた。個人的な意見だけど、私も似たように考えていて、全く無駄なものなんてなくて、どんなことにでも何かしら価値のあるものがあると思っていて。もし100%自分に価値がないものだったとしても、それが私にとって価値がないという経験値が積める。確かに手間も時間も体力も使うだろうけど、そういった経験値というものはかけがえないものだと思う。瀧さんが言ってることっていうのはそういうことだと思うし、更にいらないもののなかから価値があるものを見つけるっていうのはセンスがいるんじゃないんだろうか。彼がセンスがある人って言われるのはそういうところなんじゃないのだろうか。そう思わざるをえなかった。

もちろん、私はどちらでも良いんだと思ってる。ただ、もし目標に向かって進む時にいらないものを捨てる人には、たまには捨てないことにも目を向けても良いんじゃないかと思ってる。捨てない人にはたまには捨ててみても良いんじゃないかと思ってる。

世の中には目標を持たないと生きられない、という人と持たなくても生きれる人がいて。
それがどっちが良いとは言えないんだろうけど、瀧さんや私は後者のタイプ。岡田氏は前者のタイプ。
どっちが幸せとかじゃない。ただ人としてのあり方。ただそれだけ。



肩の力を抜いて人生を楽しんで生きているような瀧さんの話の途中で、岡田氏はこう問いかけられていた。
「楽しんでる?」
この問いかけに、とっさに、でもおそらく一瞬の躊躇の後に「幸せだなと思います」と岡田氏は答えた。その答えをらしいなあと思いつつも、それは決して「楽しいか?」という質問にまっすぐは答えてないよなあと感じた。そしてその答えは彼らしい真面目な答えなんだろうと思う。

でも幸せっていう返事は、どこかよそよそしい。
楽しいって言葉の方が実感が湧いてくる。

なので出来れば、
「楽しいですねえ!大変ですけども。」
ってニコニコ笑いながら答えてくれる人生を過ごせるようになってほしいと思う。

ちょっと彼は真面目な人すぎるから。